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ビジネスマッチングコラム vol.47
株式会社の重要事項決定機関
株主総会と取締役会は、株式会社の決定機関です。他には、取締役、監査役、監査役会、会計監査人、会計参与、委員会・執行役が会社法で定められています。
株式会社には必ず設置しなければならない機関が2つあり、それが株主総会と取締役です。株主総会は株主によって構成され、「株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる(会社法295条)」ため、会社の最高意思決定機関といえます。毎年、事業年度終了後に行われる定時株主総会と必要に応じて行われる臨時株主総会があります。取締役は、会社の業務執行にかかわる意思決定を行う機関です。会社法の定める最低限のルールに基づけば、あとは会社が自由に機関を設計・設置することができます。
取締役会とは
取締役会は株主総会で任命を受けた3人以上のすべての取締役によって構成されます。取締役会は、公開会社には設置義務があり、非公開会社での設置は任意となります。
取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違い
取締役会を置く会社を「取締役会設置会社」、取締役会を置かない会社を「取締役会非設置会社」といいます。ただし、取締役会設置会社と取締役会非設置会社という言葉は、会社法上に規定はなく正式な名称ではありません。
取締役会設置会社では、取締役は3人以上必要で、代表取締役は取締役のなかから選び、会社を代表する権限(代表権)を持ちます。
取締役会非設置会社では、取締役は1人以上で、代表取締役を選ぶのは任意です。代表取締役を選ばない場合は、代表取締役はいないことになり、取締役の全員が会社を代表する権限(代表権)を持ちます。(会社法349条1項、2項)
また取締役会設置会社には、監査役が1人以上必要です。監査役とは、株式会社において取締役の経営や財務状況等を監督・監査する役職です。取締役会非設置会社では、原則監査役は任意です。上記の情報は登記簿にも記載されています。
取締役会の職務
取締役会は、下記の役割を担います。(会社法362条2項)
1.取締役会設置会社の業務執行の決定
2.取締役の職務の執行の監督
3.代表取締役の選定及び解職
取締役会の決議は、取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成が必要となります。
下記の主な7つの事項に関しては、取締役に委任できず、取締役会で決議しなければなりません。(会社法362条4項)
1.重要な財産の処分及び譲受け
2.多額の借財
3.支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
4.支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
5.社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
6.内部統制システムの構築に関する決定
7.定款の定めに基づく役員または会計監査人の会社に対する責任の免除
上記以外にも、取締役会設置会社では取締役会で決議しなければならない事項が定められています。たとえば、譲渡制限株式の譲渡・承認(会社法139条、次項にて説明)、株式の分割(会社法183条2項)、所在不明株主の株式の競売等(会社法197条4項)などがあります。
株式譲渡制限会社の株式譲渡
非上場会社のほとんどは、株式譲渡制限会社です。株式譲渡制限とは、株式の譲渡に制限が定められており、株式発行会社の承認機関の承認がなければ株主は他人に株式を勝手に譲渡することはできません。つまり譲渡制限とは、発行会社にとって望ましくない者に株式がわたり経営に関与されることを未然に防ぐことを目的としています。
譲渡制限株式の株式を譲渡するには、「株主総会」の承認、もしくは、取締役会設置会社においては原則として「取締役会」の承認が必要になり、また、定款に別の定めがある場合はその定めの機関の承認が必要となります。
取締役会設置会社と非設置会社それぞれのメリットとデメリット
取締役会設置会社のメリットは、株主総会よりも経営に関することの意思決定が迅速にできることです。また、取締役会は個々の取締役の職務執行の監督があるため、取締役の独断な経営を防ぎ、業務執行が適正に行われているのかを監督するため、対外的な信用を高めることができます。(会社法362条)
取締役会非設置会社のメリットは、意思決定を早められることです。取締役は1人以上いれば問題ないので、権限が集中し、独断ですべてのことが決められます。また、役員報酬を抑えることもできます。
取締役会設置会社のデメリットは、3ヵ月に1回は取締役会を開催する必要があることです。(会社法363条)
取締役会非設置会社のデメリットは、ガバナンスが弱いことです。たとえば金融機関からの資金調達においても不安要素とされることがあります。また、規模が小さい会社というイメージを持たれることがありまので、信用面ではマイナスになるでしょう。
取締役会設置会社の選択
小規模な会社で株主=取締役のような場合であれば、取締役会を設置しない方がよいでしょう。会社の所有者(=株主)と経営者が分離していないならば、株主総会を容易に開催することができます。しかし、小規模な会社でも株主数が多く、株主ではない取締役がいる場合などは、取締役会を設置した方が良いでしょう。株主による株主総会で経営が決められてしまうため、外部株主が多い場合はご注意ください。
取締役会設置会社と取締役非設置会社の変更
設置会社から非設置会社へ、非設置会社から設置会社への変更はいつでも可能です。会社の経営状態にあわせて変更することが望ましいでしょう。変更する場合は定款の変更と登記が必要になります。
最後に
事業承継のためM&Aをご検討される際に、取締役会についての疑問がでてくるかもしれません。
ご質問などがございましたら、お気軽に<support@gift-map.jp>宛に相談してみませんか。
2024.6.19掲載