ビジネスマッチングコラム vol.45

飛耳長目
会議室

第三者割当増資とは

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第三者割当増資とは

第三者割当増資とは、特定の「第三者」に対して対象会社の発行する新株を「割り当て」て「資本金を増やす」手段です。第三者は法人・個人を問わず、既存の株主にも割り当てができます。上場会社だけでなく未上場会社でも用いることができ、事業で必要な資金を調達することができます。
会社の資金調達方法は、銀行から借り入れて現金を増やす、新株を発行し現金を増やす、資産を売却し現金を増やす、の3つがあります。第三者割当増資は、新株を発行し資本を増やすことで資金を得る方法です。
近年では未上場の中小企業でも多く活用されてきています。未上場会社は株式市場で資金調達ができないため、第三者割当増資は有効な手段となり得ます。

第三者割当増資の目的

第三者割当増資の目的は、主に3つです。
1.資金調達
新規事業や事業拡大、設備投資、経営の安定化、経営再建のための資金調達などをするためです。
2.他社との関係性強化
第三者割当増資を行うことで、他社との資本提携関係を結ぶためです。
3.自己資本比率を増やし信用力強化
資本金の多さは、会社の信用につながります。資本を増やすことにより自己資本比率が向上し、財務面からの社会的な信用を高めるためです。

M&Aの買収スキームとしても活用されています。第三者割当増資は売手と買手の任意な数の株式を発行できるので、議決権の過半数を取得し経営権を持つことができます。また、買収防衛策のひとつの手段となります。買収をしかけられたときに、友好的な相手に第三者割当増資を行うことにより、敵対的買収会社の持ち株比率を下げることができます。

ただし、株式譲渡のスキームでは100%の株式を取得することが可能ですが、第三者割当増資では100%の株式を取得することはできません。

第三者割当増資のメリット

上記より下記4つのメリットがあります。
1.財務基盤の安定化
第三者割当増資により調達した資金は、融資のように返済の必要がありませんので、財務基盤を安定させることができます。第三者割当増資は、引受人が限定されるため交渉がまとまりやすく、株式の発行に時間がかからず、手続きが比較的簡単なため、迅速に資金を得られます。
2.信用力の強化
資本金の増加により、信用力の強化につながります。
3.特定の引受先
株式の引受先を選ぶことができるため、意図しない相手に株式がわたることはありません。
4.引受先との関係強化
引受先との関係を強化することができます。資本提携は割当先が株主となり議決権をもつことになるので、業務提携よりも関係性を強化することができます。

第三者割当増資のデメリット

1.株式の希薄化
希薄化とは、新たに株式を発行することで発行済み株式総数が増加し、1株当たりの価値が減少することをいいます。たとえば既存株主が100%の議決権を持っていた場合、第三者割当増資により保有割合が下がり、100%の議決権を保有することはできません。既存株主にとっては、不利益となる可能性があります。

第三者割当増資の手続き

上場会社と未上場会社では、手続きが異なります。ここでは中小企業に多い未上場会社の手続きについて説明します。
1.株主総会の特別決議で募集事項を決めます。募集事項とは、募集株式数、払込金額またはその算定方法、払込期日またはその期間、増加する資本および資本準備金です。特別決議とは、発行済株式総数の過半数の株式を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。会社の経営にかかわる重要な事項のため、特別決議が必要となります。
ただし、株主総会の特別決議により、取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役)に委任することもできます。

2.会社は、株式を引き受ける申込者に対して、会社の商号、募集事項、金銭の払込みの場所などを通知します。株式を引き受ける申込者は、会社に氏名・名称、住所、引き受けようとする株式の数などを記載した書面を会社に交付します。会社は、申込者のなかから誰に新株を割り当てるのか、また、割り当てる株式の数を株主総会(取締役会設置会社は取締役会)で決めます。割当を受けた者は払い込みを行い、株主となります。

第三者割当増資により発行されるすべての株式を1名が引き受ける場合は、総数引受契約を締結することがあります。総数引受契約は、株式を引き受ける者が、発行したすべての株式を引き受ける契約です。この場合は、上記1、2の手続きが不要になります。ただし、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の決議は必要です。

3.株式総数と資本金が増加しますので、登記の変更が必要です。

最後に

第三者割当増資は、さまざまな目的に応じて活用することができます。メリットやデメリット、手続き方法などを理解されたうえでご検討ください。専門的な知識が必要になるため、必ず専門家にご相談ください。

第三者割当増資やM&Aについてご質問等ございましたら、お気軽に<support@gift-map.jp>宛に相談してください。

2024.5.8掲載

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