ビジネスマッチングコラム vol.40

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ヴィンテージの車

M&Aアドバイザーの現場雑観③

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ルパンの仕事

「ルパン」と聞くと、多くの人は人気アニメに登場する天下の大泥棒「ルパン三世」をイメージするのではないだろうか。しかし、ルパンを真の悪党などと悪いイメージをもつ人はあまりいないのではないだろうか。大泥棒だけど心優しき紳士、というイメージを皆さんももっているだろう。

わたしが抱くルパンのイメージをこれから記載させていただく。あくまでもわたしの見解であり、またそれは泥棒や怪盗を正当化するものではない。

ルパンには、天才という名がふさわしい。豊富なアイデアと大胆不敵な行動でお宝を盗み出す。そんな仕事である。常に緊張感をもち、世界中を股にかけ、獲物を見つけたら奇想天外な発想で盗みに行く。泥棒ではあるが鮮やかな手口で盗み出すこと自体に生きがいを感じており、お宝に執着することはない。そして愛嬌たっぷりな憎めないキャラクターで人々の心をも盗む優しき泥棒である。

そんなルパンの仕事は、まさに我々M&Aアドバイザーの仕事と同じように思える。絶対に妥協してはならない。常に緊張感をもち、日本中の企業を相手に合併や買収を仕掛けていくのである。売手や買手の双方からのリクエストを聞き出し、しらみつぶしに最良の相手を探し出す。最良な相手が見つかるまで次から次へと探し、成約してもまた他の案件を次から次へと探していく。決して立ち止まることはない。

そしてアドバイザーの仕事は情報が命である。売手企業のすべての情報を探り、また探偵のように、買手企業の動向にも広くアンテナを張ってマッチングのチャンスをつかむ。ルパンもその昔は探偵であったようだ。

ルパンは人をその気にさせ、人の心を奪う。ルパンと出会った人はルパンの魅力に取りつかれていく。仲間の次元大介、石川五エ門、峰不二子や銭形警部までもがルパンから離れられないのはやはり彼に魅力があるからだろう。
アドバイザーもそうありたい。アドバイザーは、廃業しようか倒産しようかと悩んでいる売手から本音を聞き出す。本音を聞き出すには、相手の心を開きその気にさせなければならない。気持ちを奪うぐらいの人間関係をつくらなければできない。真のM&Aに導くためにも、だ。

ルパンの卓越した才能は多岐にわたる。ワルサーP38を使った射撃能力も次元に劣らない実力をもつなど身体能力から高い知能指数まで。アドバイザーも高い能力と幅広い知識が求められる。そしてどちらも目的完遂のために行動し続けるのだ。

アルセーヌ・ルパンを祖父にもち、ルパンも三世というくらいだから、代々家業を継いでいる。後の代まで脈々と続いていくのだろう。泥棒の世界でも事業承継があるのが面白い。
ルパンがもしこの家業を第三者に事業承継するとなると、どんな人を求めるのだろうか。
愛嬌たっぷりな心優しきアドバイザーになりたい。(瑠波无)

2023.12.27掲載

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