ビジネスマッチングコラム vol.29

飛耳長目
山から見える夜景

M&Aの裾野が拡大している

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M&Aはすべての会社が対象

M&Aは大企業や上場企業がするものと考えられていましたが、最近では中小企業のM&A、小規模M&A、スモールM&Aという言葉も聞くようになり、身近な存在となりました。
小規模M&AやスモールM&Aという言葉に定義はありませんが、一般的に「譲渡企業の年商が1億円未満のM&A」といわれています。しかし、1億円未満といっても、たとえば年商1,000万円と9,000万円の会社では規模感が違います。
度々、譲渡希望の社長から“ウチみたいな小さな会社でも本当にM&Aができるの?”とご質問をいただくことがあります。結論を申しますと、売上が3,000万円でも、1,000万円でもM&Aは可能です。
といいますのは買手側の立場で考えると、もちろん規模の大きい企業がほしい買手もいますが、買手が中小企業ですと規模が同程度の会社や買収予算の都合から小さい会社を買いたい、新規事業をはじめる手始めにまずは小規模な会社を買いたいなど、ニーズはさまざまです。売手が大規模な会社ばかりでは幅広い買手の買収ニーズに応えることはできないのです。つまり、どのような規模の会社でもM&Aで譲渡する対象になります。

M&Aに対するニーズの増加

昨今多くの中小企業では、経営者の高齢化によるあとつぎ問題の解決方法の1つとして、M&Aの活用が増加しています。また、売手だけではなく買手も事業拡大や事業転換などの手法としてM&Aに関心が高まっています。
両者ともに、以前と比べM&Aは手に届きやすいものとなりました。その理由として、両者ともにM&Aに対するイメージがよくなったこと、M&Aを始める環境も手軽で且つ増えたことにあります。

M&Aに対するイメージが10年前と比較するとプラスのイメージに変化したというアンケート結果があります。※
○買収することについてプラスイメージになった…33.9%、マイナスイメージになった…3.9%、
○売却することについてプラスイメージになった…21.9%、マイナスイメージになった…7.6%
また、年代別の結果をみても、あとつぎ問題に悩む世代の経営者も、マイナスよりプラスの方が大きく上回っていました。全体的にM&Aに対するイメージが向上していることがわかります。

M&Aで大切なこと

M&Aを始める環境としては、M&A仲介会社やM&Aプラットフォーム(インターネット上のシステムを活用し、オンラインで売手・買手のマッチングの場を提供するウェブサイトのことをいいます。)が挙げられます。このように近年ではかなりM&A市場の裾野が拡大しています。
また、関連書籍やインターネットの記事も増えています。ただし、M&Aは専門分野の問題が関係するので、それぞれの専門家にご相談されることをお薦めします。昔からお世話になっている顧問税理士や会計士、取引している銀行、M&A仲介会社などにご相談ください。

上記のように、売手・買手ともにニーズが高まってはいますが、うまく譲渡できない会社が存在していることも事実です。
買手候補がスムーズに見つかる売手は、自社の企業ならびに事業の価値をしっかり把握できており、表現できる会社なのです。

それは、強みだけではなく、弱みがある場合は、その弱みも正直に買手に伝えられるかということなのです。会社の強みだけでなく弱みも相手に伝えることで、真の企業価値が相手に伝わり親近感と信頼関係が生まれます。ですから売れるかどうかの別れ目は、会社規模の大小ではなく会社の真の価値の大小なのです。

売手も買手も同じ立場

売手社長から、他にもこのような心配事を打ち明けられます。“信用できない買手に譲り渡してしまうこともあるのではないか。”だれでもミスマッチが起きてから後悔はしたくありません。
もし買手に対して不信があれば、もちろんその時点で断ればよいのです。中小企業の多くは株式譲渡制限付きの会社なので、大株主である売手社長の望まないM&Aは行われません。
M&A仲介会社に譲渡希望を伝えると、買手候補を探しはじめる際、約50~200社の候補先がピックアップされたロングリストと呼ばれるリストが作成されます。そのリストを確認して、遠慮したいところがあれば、あらかじめ候補から削除をお願いすればいいのです。
また、候補先との話を進めて行くと、トップ面談と呼ばれるはじめての両者社長同士の顔合わせが行われます。そのときに実際にお会いして印象が変わることはよくあります。よくない印象をもてば、仲介会社を通して断ればいいのです。反対に、会う前のイメージがあまりよくなくても実際にお会いし直接買手社長と話を交わすことで、この人になら会社を任せられると思うことももちろんあります。
M&Aは買手が立場的に有利に思われてしまうことがありますが、M&Aにおいて売手、買手のどちらの立場が上とか下とかはありません。M&A後はお互いがパートナーになりますので、どちらも立場は同じです。重要なのは納得いくまで最良のお相手探しと、交渉を重ねることです。

M&Aで求められること

M&Aにおいて重視されることは、事業の内容や売上高、利益などはもちろんですが、中小企業のM&Aにおいて一番重要な要素は、売手社長の今までの生き方や人柄です。売手社長の今まで培ってきた技術や経験、会社への想いに買手の社長は感銘を受け共感をしたり、それが何よりの決め手になったと中小企業のM&A後に聞くことが多いです。

最後に

M&A仲介会社は近年急激に数が増えています。ご相談される際は、ご自身のお悩みを誠実に聞きとり、忠実に向き合う会社を選んでください。
M&Aに不安を抱かれている方は<support@gift-map.jp>宛に気軽に相談してみませんか。


(株)東京商工リサーチ「【特別寄稿】中小企業白書より(第3回/全3回)~事業継続力と競争力を高めるデジタル化と事業承継やM&Aを通じた成長・発展~」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210715_03.html
中小企業庁「事業承継を通じた企業の成長・発展と M & A による経営資源の有効活用」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf

2022.10.12掲載

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