ビジネスマッチングコラム vol.27

飛耳長目
時計の内部の画像。

デューデリジェンス(DD)とは

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デューデリジェンス(Due Diligence:DD)とは買収監査のことで、 買手(譲受)企業と 売手(譲渡)企業との間で基本合意契約が締結された後に実施されます。買手企業が専門家に依頼し、売手企業の経営環境や事業内容などの実態を財務・税務・法務などさまざまな観点から調査して、売手企業の資産価値、将来の収益性、リスクの調査および分析を行い、M&Aのスキームや買収価格の見直しなどを検討します。具体的には帳簿の詳細や在庫の数、株主総会などの会議議事録の確認、など、売手企業の実態を直接確認します。

デューデリジェンスの際は、それぞれの専門家に監査を依頼しますので費用が発生します。
しかし、デューデリジェンスを実施しない、もしくは個人で実施した場合、売手企業のリスクが不透明なまま経営統合することとなり、想定し得なかったリスクを取り込むことになりかねません。

デューデリジェンスとは“お金で安心を買うもの”とお考えください。

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスは適切な投資を行うために必要な行為です。
実施することによって
1.企業価値の確認調査
2.M&Aの手法の決定
3.表面化した問題の契約書への反映
4.統合後を見据えた経営戦略の策定
が可能となります。

M&Aの成約に至るために必要な事項(リスク)を把握し、
企業が買収した後の
具体的な事業計画や将来性(リターン)を把握する
ためにも必要な行為と言えます。

デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスにはいくつもの種類がありますが、これらをすべて実施する必要はありません。
買手企業と売手企業の特徴にあわせて必要なデューデリジェンスを実施することが推奨されています。ここでは一般的に必要とされているデューデリジェンスを主にご紹介いたします。

種類 依頼する専門家 実施内容
1 財務・税務DD 公認会計士・税理士 など 財政状態の把握
2 労務・人事DD 社会保険労務士・弁護士など 人事制度や条件のすり合わせ
3 ビジネス・経営戦略DD 買手企業経営者
中小企業診断士
経営コンサルタント など
結合における
シナジー効果などの把握
4 法務DD 弁護士・司法書士 など 法的認可、登記などの把握
5 不動産DD 不動産鑑定士 など 対象不動産の把握
6 その他のDD 各種専門家 各専門項目の把握

1.財務・税務デューデリジェンス

お金にかかわるデューデリジェンスです。財務では主に財務諸表から財政状況、収益性の監査、また、不正な経理処理や簿外債務の有無などを監査します。財政状態の把握にあわせてキャッシュフローの分析も行います。税務では、法人税や事業税が適正に申告されているかといった税務リスクだけでなく、M&Aによる買収金額にかかわる税金についても検討がされます。

2.労務・人事デューデリジェンス

人にかかわるデューデリジェンスです。社員数や人件費、人事制度、勤怠管理など売手企業で働く人々にかかわる監査です。就業規則や各種規程を確認します。両社の人事制度や条件のすり合わせの際に活用されます。また、このデューデリジェンスを行うことでM&A後の人材流出の阻止にもつながります。

3.ビジネス・経営戦略デューデリジェンス

情報にかかわるデューデリジェンスです。売手企業を含めた市場全体の評価、また、市場における売手企業のポジションなどを監査します。外部環境・内部環境それぞれから分析を行い、ビジネスモデルを把握し、事業の将来性を見極め、経営計画の策定を行います。分析においては「SWOT分析」「PEST分析」「5フォース分析」などが用いられます。

4.法務デューデリジェンス

法律にかかわるデューデリジェンスです。各種許認可、債権・債務、雇用契約の遵守、訴訟対象になっていないかなどを監査します。この監査をもとに最終契約書に記載すべき事項の洗い出しなどを行います。また、仮に訴訟が起きた場合のリスク被害の規模を想定するためにも活用されます。

5.不動産デューデリジェンス

不動産にかかわるデューデリジェンスです。売手企業が所有する不動産の分析と調査をします。不動産は周囲の環境、地価によって大きく価値が変動するため、不動産鑑定士による分析、評価が必要です。

6.その他のデューデリジェンス

これまでに挙げた5つのデューデリジェンス以外にも多くの項目が存在します。
たとえば
・ITデューデリジェンス・・・売手企業の採用している情報システムの取り扱い方法の調査など
・環境デューデリジェンス・・・環境汚染のリスクなど
・知的財産デューデリジェンス・・・著作権、特許権の価値調査など
・そのほか顧客デューデリジェンス、技術デューデリジェンスなど

このようにさまざまなデューデリジェンス項目がありますが、すべてを実施する必要はありません。必要な項目を選択し、重点的に行うことで売手企業の評価にご活用ください。

最後に ~売手企業さまへ~

売手企業によくあるデューデリジェンスへの誤解として「買い叩こうとしているのでは」と捉えられることがあります。

しかし、デューデリジェンスは会社の価値とリスクを正しく判断してもらうものであり、買収価格を下げようとする目的で実施するものではありません。買手企業に対し不都合な事実を隠蔽しようとした場合、デメリットしか生まれません。

M&Aの契約には表明保証条項が盛り込まれています。開示した情報に誤りがあった場合に、損害賠償請求ができる、というものです。 事実を隠し、企業結合という一時的な成功を得たとしても、なにかのきっかけで損害賠償問題に発展するなど、最終的に企業結合が失敗に終わってしまうこともあります。 デューデリジェンスはリスクの確認だけでなく、将来にわたる経営計画策定のためにも必要です。 今後の事業継続、発展のためにも包み隠さずすべて買手企業に提示することが両社にとって最良の結果を得るものとなります。

M&Aをご検討されている方は、<support@gift-map.jp>宛にご連絡ください。

※当社は税務についてのアドバイスなど、税理士法および弁護士法に違反する業務は一切行っていません。

2022.6.1掲載

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