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ビジネスマッチングコラム

飛耳長目vol.3
大廃業時代へ突入 理由は少子高齢化

日本経済は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により大きな打撃を受けています。1990年代のバブル崩壊、2008 年のリーマンショックなど、今までにも経済危機は度々訪れました。今回のコロナ禍で、特に大きな打撃を受けているのは、陸運、飲食、宿泊、小売り、生活サービス、娯楽、医療介護などで、資金繰りが苦しい中小企業が中心です。

政府は、大きな影響を受けている個人や事業者に対して、過去最大の財政出動をするとしています。個人向けには特別定額給付金、学生向けの学生支援緊急給付金、事業者に対しては事業の継続を支え再起の糧となるための持続化給付金、無利子無担保融資制度などの緊急経済対策です。政府は、1 次、2 次の補正予算を合わせて事業規模 200 兆円を超えると発表しました。企業の資金繰り支援などで 官民合わせて94兆円超、真水では33 兆円の国費を投入することになります。
このようにさまざまな対策が打ち出されてはいますが、スピードが遅く、雇用維持や支払いが待ったなしの状況で、不安を抱える経営者は非常に多いと思います。

根底にある大廃業時代に加え、コロナ感染症拡大による経済への打撃により、あとつぎ問題はさらに深刻な事態となっています。

大廃業時代へ突入 理由は少子高齢化

“あとつぎ”問題はなぜ難しいのか

日本では廃業する企業が年々増加傾向にありますが、実は経営が行き詰まり倒産する件数よりも、事業や会社を誰にも引き継げずに廃業する件数の方が圧倒的に多いのです。その会社にはまだまだ働きたいと思っている従業員もいますし、事業にはお得意先がいます。その様な状況で廃業をするのは経営者にとってとても切ないことでしょう。

小規模事業者も含めた中小企業の経営者がハッピーリタイアするために、最後に必ず行わなければならないのが、経営の引き継ぎです。中小企業は日本の企業の約99%(うち小規模事業者は約85%)で、引き継ぎのためには入念な事前準備と計画が必要になります。
実はこの準備と計画に着手していない経営者が非常に多いのです。いずれはと思っていても、目の前の仕事に手一杯で、後回しにした結果、経営者が高齢になり、実際にリタイアを考えるときには意図せず廃業を選択する原因になっていると考えられます。高齢化社会と少子化社会に突入した我が国だからこそ、社長の高齢化と“あとつぎ”不在の問題は避けて通れないのです。

進む経営者の高齢化

中小企業白書によると戦後のベビーブームによって誕生した団塊の世代が、出世や起業を通して経営者となり、バブル景気を牽引し、今は引退の鐘の音が鳴るのを待っている状態です。その結果、人口のボリュームゾーンがスライドするのと連動するように、国内の経営者の平均年齢も高齢化を続けています。さらに日本は深刻な少子化問題を抱えているため、後継者や人手の不足が生じており、これも今の大廃業時代を招いている要因の1つなのです。

中小企業では経営者の高齢化が進んでいます。1995年の日本の経営者の平均年齢は約47歳でした。そして2015年には約66歳となり、20年間で大幅に高齢化しています。2020年の現在ではさらに平均年齢が上がっていると推察されます。これもまた大廃業時代到来の要因が財務状態の悪化ではなく、後継者不足によることを示すデータです。さらに今後は財務が優良な企業でも廃業せざるを得ないケースが増えると予想されます。

あとをついでくれる人がいない

中小企業のスムーズな事業承継の大きな阻害要因が後継者の不在です。特に創業社長のあとをつげる人がなかなか見つからないのです。元々我が国では、企業は家業という考えが強く、創業者の親族が代々引き継ぐことが一般的でした。ところが少子化が進む昨今、親族へ事業を承継するケースは減少しています。また、失われた30年ともいわれる平成の不況も相まって、本来ならあとをつぐ親族らが家業を継ぐリスクを敬遠し、安定を求め大企業に勤める傾向が顕著になっています。また社内へ目を向けてみると、たとえ優秀な幹部や従業員でも、将来への不安や、借入金の担保などを嫌い、経営者としての重い責任を背負いたくないという考えから、従業員の中からあとをついでくれる人を見つけにくくなっているのです。こうした事情により、社内での内部承継は減少傾向にあります。

課題はなにか

課題には大きく2つあると考えます。

課題1 資金調達

会社を誰かに引き継ぐためには多額の費用が必要になります。
その引き継ぎに必要な資金を調達できないケースがあります。この問題は親族への承継と従業員への承継で内容が異なります。
親族への承継の場合、会社に関する資産は贈与することになります。そして贈与した場合、贈与税が発生します。
会社に関する資産は固定化した資産など、現金化できないものが多いため、贈与税を納税できないというケースが多々発生します。

従業員への承継の場合、基本的には従業員に対し経営者が所有する会社の全株式を売却することで従業員が経営権を取得し、事業を引き継ぐことになります。その際、自己資金で賄えられれば問題ありませんが、多くの場合は、金融機関からの借入れによって資金調達することになります。さらに、会社に金融機関からの借入金があれば、後を継ぐ従業員が借入金も引き継ぐために、自ら新たに担保を差し出す必要もあります。
また、アドバイスや手続きのための士業へのコンサル料も発生します。
このように社内の事業承継にはいくつかのハードルを越える必要があります。特に資金調達は非常に高いハードルではないでしょうか。


課題2 時間切れ

時機を逃して事業承継を進められない経営者も実は少なくありません。
事業承継は、計画書の作成や“あとつぎ”の育成など、やるべきことが沢山あります。したがって時間がかかりますが、準備の必要性を認識できていない経営者が圧倒的に多いのです。中小企業庁のガイドラインによると、経営者の平均引退年齢は70歳で、承継には5~10年といわれているため、60歳ごろから準備を進めるのが理想とされています。
さらに、40代から事業承継を準備した方がよいという調査結果もあり、早いうちに積極的に後継者を探しておくべきでしょう。しかしながら社内での後継者はすぐには育ちません。
後継者の必須条件は、
○トップリーダーとしての哲学と視野を持つこと
○会社と事業のすべてを網羅的に理解すること
この2点を修得させるためには経営者自らが後継者に対して特別な帝王学を教育・訓練し、経験を積ませる必要があります。

また、多くの時間をかけて事業承継を行うのは、できる限り財務状態を改善する「磨き上げ」も必要だからです。


ここまで事業承継の現状と課題に関してご紹介してきましたが、事業を引き継ぐ方法を整理しましょう。
大きく分類すると以下の3つです。

『親族への内部承継』
『従業員への内部承継』
『他社へのM&Aによる外部承継』

ここで出てくるのが、他社へのM&Aによる外部承継です。
こちらは、後継者が不在、あるいは後継者を育成する時間がないなどの課題を抱えており、それでも会社や事業を誰かに引き継いでもらいたい場合に行うM&Aによる外部承継です。M&Aによる承継に必要な期間は、売却理由や事情によって変わりますが、最低でも6ヵ月程度とお考えください。
しかし、タイミングとニーズが合えばさらに短くなることもあります。

経営成績は比較的安定しているが、今後の業界の先行きが見通せない場合や、下降が予測できる場合には、親族や従業員に引き継がせたくないのが本音でしょう。
そのような場合は、資金力があり、利害が一致して相乗効果が出る会社にM&Aによる外部承継を行ない、会社を任せて、経営者は売却利潤を得ながらリタイアする方がハッピーだと思います。
このように現状分析を通じて今後を見極めてから最善の判断を下し、事業承継に取り組むようにしましょう。


おわりに
今まで苦労しながらそれでも頑張って続けてきた自分の会社。頼れる人に引き継ぎたいと思うのが人情です。それは自分の娘をお嫁に出すような気持ちだと思います。そしてさらなる会社の成長のために、優秀な方に引き継いでいただくことこそが出口戦略そのものです。親族への承継、従業員への承継、M&Aでの承継、どれも一長一短があります。一概にどの方法がよいとはいえませんが、内部承継が困難で、廃業や解散などを考えている方は、ぜひM&Aによる“あとつぎ”探しをご検討ください。
優秀な経営者が経営している法人へとM&Aで外部承継することで、会社や事業は存続・成長し続けることができます。

新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、大廃業時代の進行に拍車がかかっています。
この状況を乗り切るために、日本テクノはM&Aを通して皆さまに貢献したいと思っています。

新型コロナウイルス感染症の1日も早い終息を心よりお祈りしています。

2020.6.1掲載

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