ご成約事例 case28

case28
互いに意識していた同業の存在
漠然と描いていた「いつか一緒になれたら」が現実に


同じエリアで同じ分野を生業とする両社
1993年設立のシステックは栃木県足利市で自動車部品製造用機械の設計・製作を手掛けている。顧客に大手企業を多数抱え、優良な販路を形成しているものの、後継者問題に悩んでいた。従業員や取引先のためにも事業継続の道を探るべく、代表取締役の根岸宏之氏は地元地銀に相談。買手として紹介されたのが足利技研だった。足利技研は同じ市内の同業社。1945年の設立後、モーターの修理から始まり、現在では代表取締役社長の大野和俊氏の指揮のもと、産業用ロボットを活用したシステムの設計・製作はもちろん、ロボットティーチングまでワンストップで手掛ける。直接の取引はなくとも、同じエリアの同業者であるため、お互いの会社のことは知っていた。そんな安心感も手伝い、早い段階で事業承継に向けた意思確認はまとまっていた。しかし両社とも初めてのM&Aであり、何から着手すればよいのか分からず、定期的に会合するだけの日々が続いていた。転機となったのは2024年夏のこと。根岸氏の体調悪化により、両氏ともに「早急に話を進めなければ」と危機感を抱いた。依然として進め方が分からなかったため、地銀やM&A仲介会社に相談をしていたが、ある日大野氏は日本テクノからもM&Aに関するメールマガジンが届いていたことを思い出した。

システック工場内に設置された自動車部品製造用機械

足利技研はオーダーメイド後の長期的なアフターフォローを得意とする

合意は成されていたため、展開は早かった
足利技研は電気保安で日本テクノと長年の付き合いがある。信頼感が決め手となり、仲介契約を依頼した。問い合わせ後、担当のM&Aアドバイザーが両社から希望条件などをあらためてヒアリング。必要な手続きや書類を整え、約2ヵ月という短期間で成約に至った。「スピーディーな展開でしたが、長年の懸案を進められて安心しました」と根岸氏は語る。自社で製造した数多くの機械は今もなお海外を含む客先で活躍している。そのメンテナンスを円滑に足利技研に引き継ぐべく、技術の承継に意欲を見せた。

根岸氏は体調を考慮して新規の仕事をセーブしていた

「お客さま第一」も互いに共感できる部分
システックでは自動車部品製造用機械のほか、近年では自動車のブレーキ部品の製造自体も多く請け負っている。「人手不足により産業用ロボットは活況ですが、反面、市場への参入が多く、今後価格競争が激しくなることが予想されます。この先ひとつの分野だけで生き残れるだろうかと考えていたため、システックの事業を引き継ぐことで、もうひとつの事業の柱としたいと考えています」(大野氏)。2024年11月に契約調印が完了したが、実際の株式譲渡は翌年3月。根岸氏はその後1年間は顧問として留まるが、譲渡までに書類関係の整理のほか、顧客情報や仕入れ、利益などに関する資料作成を万全に行い、憂いなく経営を引き継ぎたい考えだ。

秋晴れのなか、ほっとした表情の両氏
(左から足利技研 大野 和俊氏、システック 根岸 宏之氏)
今回の株式譲渡成立のポイント
- Point 1 | 同エリア、同業種のため、互いの会社を知っていた
- Point 2 | システックの良好な財務状況と優良な販路
- Point 3 | システックの受注分野が第二の柱として期待できる
- Point 4 | 足利技研と日本テクノの電気保安における信頼感