ご成約事例 case24
case24
似て非なるフィールドで活躍する両社の共通点
通底する「環境」への思いでさらなる発展を図る
事業の特殊性が内部承継のハードルに
旭興産は1971年に設立。産業廃棄物処理に関する一連の設備を有し、収集・運搬から焼却や破砕処理を自社で完結することができる。環境意識の高まりを受け、廃油・廃プラスチックの再資源化に力を入れているほか、油の漏えい処理も行うなど長年の産廃処理・危険物取り扱いのノウハウを活かして活躍する企業だ。東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、自社だけでなく地域の復興支援にも注力。地元の信頼を得ている優良企業だが、特殊な事業なだけに内部承継が難しい。代表取締役の阿部建夫氏は後継者について悩んでいた。
旭興産は自社で一貫処理が可能な国内有数の設備をもつ
当初は懸念を抱いていたM&Aという手段
M&A に怖い印象を抱いていた阿部氏だが、最近は各所で耳にするようになり「今はそういう時代なのか」と選択肢の1 つとして受け入れるようになった。先々のことについて日本テクノに相談したことがきっかけで、本格的に第三者承継に向けて動くことにした。東北エリアでの承継を考えていたが、買手が現れなかったことから探索エリアを拡大。すると東京都の環境保全とマッチングした。有害物質の検査・分析をはじめ、あらゆる環境の測定を行っている企業だ。
震災を乗り越え再建した各種設備
現状維持だけでは「絶対安全」はない
環境保全は官公庁や自治体からの受注もあり景気に左右されないビジネスモデルを築いてきた。しかし代表取締役社長の奥山芳徳氏は「コロナ禍でさまざまな業界がダメージを受けているのを見て、絶対安全な業界などないのだと痛感しました」と、主力事業を支える新規事業への挑戦を検討していた。旭興産の事業とは実務的な共通点はないが、環境にまつわる調査・分析を行う環境保全、回収・処理を行う旭興産と考えると同じ流れのなかにいる。大きなシナジーが見込めると考え、買受を決断した。
従来と違うことに挑戦する攻めの姿勢をもつ環境保全
迅速に、かつ確実に引き継いでいく
「多くの許認可が必要で専門的な事業。土地勘をつかむことも含め、しっかりと勉強していきます。阿部社長はいろいろな業界団体の重役も務められているので、まずはお手伝いをしながら覚えていこうと思います」と話す奥山氏。親子ほども年の離れた両者だが、阿部氏は「若い力に期待しています。今日のことは1 つの区切り。これからやることが山積みなので協力関係を築いてバトンをお渡ししたい」と技術や経営の継承に意欲をみせた。阿部氏は2024年春に代表を退き、取締役に就任予定。その後2~3年をかけて引き継ぎを行い、奥山氏に後を託す考えだ。
ここからが新しいスタートだと固い握手を交わした
(左から環境保全 奥山芳徳氏、旭興産 阿部建夫氏)
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 両社ともに、今後一層の発展が期待される環境関連事業であること
- Point 2 | 業種が完全一致でないが故により大きなシナジーが見込める
- Point 3 | 互いに専門的な許認可・資格を多数保有している
- Point 4 | 環境保全の東北エリア進出拠点としても期待