ご成約事例 case21
case21
航空機部品製造の2代目社長が機械部品製造に挑戦
共同経営で収益を改善し、5年後の引き継ぎをめざす
70歳を迎える前に区切りをつけたい
1990年設立の浜松機工は機械部品の製造加工を行う静岡県の企業。短納期の受注にも臨機応変に対応できることが強みで、多くの大手顧客を抱える。代表取締役の山内通義氏は68歳の今もほとんどの業務を自ら切り盛りしているが、後継者がいないため数年前からM&A仲介会社などに事業承継の相談をしていた。しかし仲介会社の対応に不満があり、契約を進めるべきか迷っていた。そんなとき、日本テクノのM&Aアドバイザーが訪問。電気の管理で信頼していたこともあり、後継者探しを託すことにした。
浜松機工は自動車メーカーからの引き合いが絶えない
この先も生き抜くための仲間を探して
オオナガは兵庫県で航空機などの部品製造を行っている。創業は1978年※で、代表取締役の大長勝氏は2代目。安定的な生産基盤と品質保証体制を確立しており、上場企業との直接取引もある。海外にも生産拠点をもちグローバルに事業を展開。好調の一方、現状維持では生き残っていけないという危機感もあった。業務の幅を広げる選択肢としてM&Aを考え何度かトップ面談や買収監査まで至ったが、条件や資金面で断念。次こそは、という強い思いがあった。
オオナガは航空機のほか、ロケットの部品製造も行う
まずは共同経営からスタートを切る
「譲渡案件の資料を何件も見るうちに、どんな会社ならイノベーションが生まれそうか判断できるようになってきました」(大長氏)。浜松機工の資料を目にした際は、その場で面談を希望するほど可能性を感じたという。2023年7月から充分な話し合いの場をもち、合意形成はスムーズに進んだ。しかしオオナガが契約するコンサルティング会社の提案を受け、現時点での全株式譲渡は難しいと判断。そこで、浜松機工の株式数200に対し210株を新規に発行し、それをオオナガが保有することで51%の経営権を取得する資本業務提携(第三者割当増資)からスタートすることにした。
オオナガは航空機のほか、ロケットの部品製造も行う
取引先や社員、地域とのつながりも大切に
34年間の自社の歴史にどう幕を下ろすか、なかなか結論を出せずにいたという山内氏。同業者のM&Aも間近で見て、関係者すべてが幸せになる道は難しいかもしれないと感じていたが、そんな不安を感じさせない大長氏との出会いだった。両社は当面、共同経営者として課題解決に臨み、5年以内を目途に全株式をオオナガに譲渡する計画だ。「創業社長を超えるのは難しいと自身の経験で身に染みています。山内社長と浜松機工の魅力を内部からじっくり分析し、取引先や社員、地域との関係をうまく引き継いでいきます」(大長氏)。
人生観や哲学など、ビジネス以外のことも語り合った
(左から浜松機工 山内通義氏、オオナガ 大長勝氏)
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 機械部品と航空機部品の製造という似て非なる分野であること
- Point 2 | 双方の事業領域の拡大が図れる
- Point 3 | 浜松機工がターミナル駅から近く、日帰り可能な距離
- Point 4 | オオナガの経営戦略により浜松機工の課題解決を図れる