ご成約事例 case18
case18
創業以来、社長自ら切り盛りしてきた独自のものづくり
探し求めたバトンの継ぎ手を大阪に見出す
独創性を発揮した、他に類のないものづくり
エナデックは1967年創業※。FA装置や自動化装置の設計・製作などの金属加工を行っている。代表取締役の渡辺久男氏が商品企画や設計、製造、営業、管理までを自身で切り盛りしてきた。開発力に定評があり、独自開発した製品で特許を取得。主力商品として同社の売上を支えている。経営は順調だが、年齢的な心配もあり数年前から引退を考えていた。子息に後継の意思はなく、あとつぎがいない。従業員の雇用を守るべく何とか会社を残したいと考え、GIFT mapに登録した。 ※法人登記は1983年。
エナデック外観。渡辺氏が24歳で起業した
関東進出の足掛かりを求めて
一方の三洋金属工業は「大阪のものづくりを元気にしたい」という思いから、過去にもGIFT mapを介してM&Aを行いプラスチック金型や成型を行う会社を傘下とするグループを形成している。関西圏だけでなく一都三県にも多数の顧客を抱えており、代表取締役の下大川丈晴氏はかねてから「首都圏に本格的な拠点がほしい」と考えていた。2023年3月のトップ面談で、両社長は意気投合。翌月には基本合意が取り交わされ、同年7月、晴れて調印の日を迎えた。
エナデックが独自開発し、特許を取得した「ステップフィーダー」。川崎市ものづくりブランドにも認定された
今後の展望に両者が胸を膨らませる
この日を心待ちにしていたという渡辺氏は「下大川社長の信頼できる人柄や屈託のない笑顔に、この人なら安心して後のことを任せられると一目惚れしました」と話す。会社のこれまでを託すだけでなく、三洋金属工業グループにくわわることで、さらに発展していくことを期待する。製造業は今後、下請けだけでは勝ち残れないと考える下大川氏は、研究開発部門を立ち上げて自社製品の開発に取り組んでいる。エナデックの開発力や思想を取り込むことでそれを加速させる構想を描く。「現場を見るとその会社のものづくりに対する考え方が伝わってきます。エナデックで行われている工夫や技術をもっとさまざまな製品に活かしていきたいと実感しました」(下大川氏)。
調印式は日本テクノ本社で執り行われた
ここがスタートライン。新しい局面が始まる
渡辺氏は事業の承継を見守りながら、時期を見て顧問となり、2024年には経営から退く考えだ。三洋金属工業の関東エリアを担当するチームとの連携など、具体的な計画はこれから進めていく。ただ、下大川氏は学生時代を首都圏で過ごしており川崎市にも個人的に馴染みがあるため「距離の心配はしていない」と話す。グループ内各企業とのシナジーを図りつつ、多彩な幅のものづくりを展開できるよう、エナデックと三洋金属工業の新しい挑戦が始まる。
力を合わせて新しいものづくりを共創していく
(左からエナデック 渡辺久男氏、三洋金属工業 下大川丈晴氏)
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 開発力を強化したい買手のニーズと売手の独創性がマッチ
- Point 2 | 関東圏の顧客フォローのための拠点づくり
- Point 3 | 社長同士の波長が合い意気投合
- Point 4 | 互いに他の候補企業が目に入らない程の結束がうまれた