ご成約事例 case17
case17
変化著しい印刷関連業で「付加価値」を追求
デジタルイノベーションに挑み新たな活路を見出す!
変わりゆく業界に不安を感じていた
1982年設立の勇英社製本。代表取締役の久野信夫氏は2代目で、創業者である父から事業を引き継いだ。自ら開拓した顧客と長年にわたり堅実な取引をつづけ、従業員1人あたりの売上高は製本業界の平均値888万円(日本政策金融公庫2017年10月資料より)を上回る1,373万円。安定した経営と好業績を維持してきたが、製本業界を取り巻く時代の変化についていけるだろうかという憂いを抱えていた。また、維持できたとしてもあとつぎが不在という状況が、先行きに対する不安を強めていた。
設立より41年をむかえた勇英社製本
小さな規模の会社でもM&Aができると知った
現場一筋でやってきた久野氏。ここまでついて来てくれた従業員とその家族を守るためにも、会社存続のための模索を始めた。定期訪問していた当社営業担当から情報を得たM&Aアドバイザーが久野氏を訪問。言葉だけは知っていたM&Aという手法が自社でも実現可能だと分かり、日本テクノに買い手探しを託すことにした。買受候補として名前が挙がったのはNPC。創業者で代表取締役社長の岡田法之氏が、前身である2つの会社を統合して2010年に設立した。
勇英社製本工場内。7名の従業員が効率よく働く
決め手は「まだやれる」と思えたこと
NPCは主力事業である印刷業にくわえ、近年は製本業も強化し、業績は伸び続けている。所在地が近くお互いの社名は認知していたが、これまで接点はなかったという。今回の提案で初めて顔を合わせ、その場で意気投合。互いの会社視察を経て久野氏は「従業員との距離感を大事にしている姿を見て、私の会社の従業員たちのことも大切にしてくれるだろうと思えました。岡田社長と話しているとまだやれることはたくさんあると思えて勇気が湧きます」と話す。岡田氏も、久野氏とはめざす方向が同じであると感じたという。
NPCは大型設備を多く保有。製造工程のデジタル化が進んでいる
仲間を増やし、会社の付加価値を上げる
印刷・製本業界はいま、デジタル化の波に押され変革の時を迎えている。旧態依然では生き残れないと考える岡田氏は、成熟産業であるからこそ、いかに自社のサービスに付加価値をつけていくかが鍵だと語る。メディアとしての紙媒体は、減少するとしてもなくなりはしない。「将来に対して悲観することなく、外部環境に合わせて恐れずに変化していきます」と話す岡田氏にとって、高い生産効率を誇る勇英社製本は強力なパートナーといえる。久野氏は今後、最短でも5年間は代表取締役として第一線で経営にかかわる。NPCと勇英社製本はともに歩む仲間として互いの成長を図っていく。
調印を終えて、晴れやかな表情の両者
(左から勇英社製本 久野信夫氏、NPC 岡田法之氏)
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 所在地が近く交流しやすい
- Point 2 | 同業種のため、お互いの事業への理解が容易
- Point 3 | 勇英社製本の高効率な業務遂行力が魅力
- Point 4 | パワフルな岡田氏と実直な久野氏。性格の相性がよい