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ご成約事例 case16

ご成約動画

case16

決め手は直に体験した心やすらぐ宿でのひととき
大切にしてきたおもてなしの心を引き継ぐ

株式譲渡。譲渡側は株式会社廣美、代表者:小瀬川勝博(74 歳)、事業内容:宿泊業、所在地:岩手県花巻市、設立:1973年、従業員数:13名。譲受側は株式会社古瀧、代表者:里見喜生(54歳)、事業内容:宿泊業、所在地:福島県いわき市、設立:2022年、従業員数:30名

料理自慢の割烹旅館は先行きを憂いていた

1973年から岩手県花巻市の花巻温泉で割烹旅館「廣美亭」を営む株式会社廣美。代表取締役社長の小瀬川勝博氏と取締役で女将の洋子氏は、宿泊客を自宅に招き入れるようなアットホームな接客をこころがけてきた。リピーターが多く、自慢の料理は地域でも有名だ。しかし夫妻の子息に後継の意志はなく、事業の継続について悩みを抱えていた。気力・体力の面にも不安がある。M&Aアドバイザーから第三者承継に関する提案を受けた際も「引き受けてくれる企業が現れるはずもない」と、踏ん切りがつかずにいた。事態が動いたのは2022年の年の瀬だった。仲介契約はまだ締結していないものの、M&Aアドバイザーは「こういった売り案件があったらどうか」と同業種を中心とする当社顧客に廣美の紹介を行っていた。そのなかで株式会社古瀧の代表取締役である里見喜生氏が興味を示したのだ。それを聞き、小瀬川氏はようやく承継を前向きに考えることができた。正式に仲介契約を交わし、承継に向けた話し合いが始まった。買い手の株式会社古瀧は福島県いわき市の湯本温泉で旅館「古滝屋」を経営している。1695年の創業で、里見氏は16 代目。これまでの伝統を守る一方で事業の拡大も考えており、花巻温泉は里見氏にとって魅力的なエリアのひとつだった。

廣美亭外観。料理長の創作料理が人気

廣美亭館内。「自宅に帰ってきたようだ」と語る宿泊客も

「小さな旅館だからこそできる接客」を残したい

買受を検討するなかで里見氏は視察を兼ねて廣美亭に宿泊。「この時が初めての花巻温泉への訪問でした。小瀬川夫妻や従業員の皆さんから誠実さや高いホスピタリティ精神を感じました。周辺住民からの評判もよい。単純な投資目的の買収などで廣美亭の魅力や夫妻の想いが損なわれるようなことがあってはならないと感じました」(里見氏)。東日本大震災以来、東北地方は経済的・社会的に苦労してきた。事業拡大の考えはもちろん、同じ東北の人間、旅館業の仲間として、どうにかこの旅館を残したいという思いが強かった。

調印式にて重要書類の引き渡しと確認を行う

宿の灯りは消えない

2023年4月、譲渡契約の調印を終えた小瀬川氏は「単純に手放すのではなく、息子と思えるような方と出会うことができ、歴史をつないでいけることをうれしく思います。暗いと思っていた未来が急転直下、明るい未来に変わりました。里見氏は尊敬できる人柄なので、後のことを安心して任せられます」とほっとした表情を浮かべた。洋子氏も気持ちが楽になったと話す。廣美の新社長に就任した里見氏は、今後いわきと花巻を行き来しながら「古滝屋と同様、廣美亭でも権限の委譲と業務の分散化を徐々に進め、持続可能な経営体制を構築していきたいです」と意欲を燃やす。

地域に愛される廣美亭のさらなる発展を約束
(左から古瀧 里見喜生氏、廣美 小瀬川勝博氏、洋子氏)

今回のM&A成立のポイント

  • Point 1 | 花巻温泉の温泉街としての魅力
  • Point 2 | 社長同士の人間的な相性
  • Point 3 | 従業員の雇用継続
  • Point 4 | 古瀧から廣美に業務効率化やIT化のノウハウを共有できる

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