ご成約事例 case12

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case12

難題を解決するべく実施された友好的M&A
複数株主が所在不明、問題山積のハードルを越える

株式譲渡。譲渡側は小樽冷凍製氷株式会社、代表者:川村隆也氏58歳、事業内容:介護付き有料老人ホーム運営、所在地:北海道小樽市、設立:1938年、従業員数:19名。譲受側は株式会社アクア、代表者:中村健太郎、事業内容:医療・福祉業、所在地:北海道札幌市、設立:2010年、従業員数100名。

八方ふさがりと思われた「自社株問題」

 小樽冷凍製氷は1938年の設立。現在は2004年に開所した有料老人ホーム「ゆたか荘」を運営している。代表取締役の川村隆也氏はあとつぎについて考えていたが、自社発行の株式が分散し複数の株主が所在不明になっていることに頭を悩ませていた。所有者がわかっているのは全体の約30%で、会社として重要事項を決議することができない。残り70%を集約したいが、会社法上、所在不明株主の株式の取得には通常5年を要する。当社M&Aアドバイザーが訪問した時点で株式の集約完了まであと4年ほどかかる見込みだった。経営状況も芳しいとはいえず、後継者もいない。会社存続の危機ともいえた。 当社とアドバイザリー契約を締結し、株式集約のスピードアップを図るとともに買い手の探索を並行。有力候補としてアクアの代表取締役である中村健太郎氏に打診した。過去に7度のM&Aを経験していた中村氏は当初、同社の買受は厳しいと感じていた。周囲にも反対されたが、M&Aアドバイザーの話を聞くうちに「力になれるのではないだろうか」と思うようになり、川村氏に会ってみることに。「人柄に惚れ、この人のためなら多少のリスクがあっても当社で助けたいと思えました」(中村氏)。課題は山積していたが、施設の社会的意義を思うと使命感が湧いたという。

ゆたか荘は介護保険法による認定を小樽市で最初に受けた特定施設

アクアは札幌を中心に介護、医療、保育などの事業を展開。写真は住宅型有料老人ホーム「アクア富丘」

株式の集約は段階的に進行

 中村氏は過去のM&Aで売主側の立場も経験している。だからこそ川村氏や従業員の気持ちも敏感にくみ取ることができた。2022年8月、手始めに川村氏が所有している10%の株式譲渡が行われた。分散および不明株式の整理にはアクアの顧問弁護士も入り協力して進められ、同年12月、全体の46.7%まで集約・譲渡が完了。小樽冷凍製氷は晴れてアクアの持分法適用会社となった。アクアの取締役が定期訪問し財務・業務の改善に着手している。「目の前の業務に精一杯で手が付けられていなかったが、ようやく改善に取り掛かることができます」(川村氏)。

調印式はアクア本社で行われた

札幌と小樽で協業する未来を描く

 所在不明の株式は事業承継のハードルのひとつ。2022年、民法上の特例措置が適用される「経営承継円滑化法」が制定された。最終的に100%の株式譲渡をめざす両社は、これを活用し残りの株式回収を急ぐ。「ゆたか荘は小樽市で最初の“特定施設”。これを引き受けることは感慨深い。リブランディングも含め戦略を練り、必ず黒字化します」(中村氏)。川村氏も「株式をどうしたらよいのか相談できる相手もおらず、長い時間が経ってしまった。紙一重のタイミングでGIFT mapに出会えて心底安心しました」と安堵の表情を見せた。川村氏は今後もアクアの支援を受けながら運営に尽力する。

両氏のあいだには強固な信頼関係が築かれている
(左:川村氏、右:中村氏)

今回のM&A成立のポイント

  • Point 1 | トップ同士の人間的相性
  • Point 2 | 難題にこそ立ち向かうべしという中村氏の使命感
  • Point 3 | 互いのエリアにおける地の利が活かせる
  • Point 4 | 専門アドバイザーならではの法令活用による問題解決

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