ご成約事例 case10
case10
同じ業界の同志として手を取り合う!
一歩踏み込んだ相互関係構築のための資本業務提携
会社を譲り渡すだけがM&Aではないと知った
1979年設立の高橋鋼材は福島市内を商圏とし鉄鋼一次製品の卸売を行っている。代表取締役の高橋智弘氏は後継者がおらず、大きく変化する社会情勢のなか、今後の経営方針について漠然と考え始めていた。そんなとき、たまたま訪問した当社M&Aアドバイザーに事業継続について何気なく相談した。そこで高橋氏は会社を譲り渡す以外にも、M&Aにはさまざまな手法があることを知った。あらゆる可能性を模索するため、2021年7月に仲介契約を締結した。
従業員5名が働く高橋鋼材の作業場
業界内で生き残っていくための選択
譲渡先の候補として東亜通商の名前が挙がったのは、買受を提案した当社顧客からだった。代表取締役の市川惠郎氏は2008年の就任以来、東日本大震災などの苦境に遭いながらも人的・物的投資を継続して行ってきた。同業他社も「同志」と考え、助け合いを重視してきた。同社と高橋鋼材はかねてから取引があったこと、同社の担当窓口である専務取締役の高橋正子氏が高橋鋼材の事業内容や高橋氏の人柄を把握していたことが大きな後押しとなり、譲受の提案を受け入れた。
東亜通商は2年前の河川氾濫で被害を受け、建屋を改修した
変わる部分と、変えない部分と
2022年4月、資本業務提携契約の調印式が執り行われた。今回の契約で東亜通商は高橋鋼材の発行済み株式の30%を取得し、主要株主となった。資本業務提携契約を締結することで、事業のすべてを譲り渡すのではなく、独立性を維持したまま資本面・事業面で支援を受けられるようになる。高橋氏は「今後どのようになっていくかは未知数だが、この機会をきっかけに良い変化を生み出していきたい。独自のやり方でお客さまの役に立つというモットーは変えず、東亜通商の知恵を借りながら進んでいきたい」と今後について意欲的に語った。
調印式は東亜通商で執り行われた
さらなる発展に夢が膨らむ
鉄鋼は重くかさばるため輸送コストの管理が重要。市川氏は本提携により課題の解消が図れると話す。別々の会社である場合、互いの製品を混載して運ぶと「運送業」に分類されてしまうため違法行為になる。資本業務提携により結びつくことで、仕入れや配送などの共同運行が可能になる。戦略の幅も広がる。「今回の資本参加で高橋鋼材を支配するようなことはなく、あくまでもパートナーです。私はサラリーマン社長だが、高橋さんはオーナー社長。苦労も多いと思うので、今後は何でも相談してほしい」(市川氏)。
これからの戦略についてさっそく語り合った
(左:市川氏、右:高橋氏)
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 同業者同士ならではの共通課題があった
- Point 2 | 独立性を維持することで戦略の幅が広がる
- Point 3 | 福島県全域での販売シナジーが見込める
- Point 4 | 馴染みのある電気保安の会社だからこそ、安心して任せられた