ご成約事例 case5
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コロナ禍の先を見据えた攻めのM&A
技術力の向上をめざす
有限会社サクライは、1991年に加工製本事業を立ち上げて以来、印刷物の折り加工を中心に30年にわたり事業を続けてきた。国内に2台しかない特殊な折り加工の機械を導入するなど、サービスの高付加価値化を図ってきたが、代表取締役の櫻井聖一氏が70歳になり、後継者不在のため廃業を考えていた。しかし一方で、従業員の今後や、顧客へ迷惑をかけてしまうという思いもあった。GIFT mapアドバイザーのM&Aの提案に仲介サービス契約を結んだ。
サクライの強みは高度な折り加工技術
株式会社森技報堂は、金券やDM印刷など、機密性の高い印刷物を多数手掛ける。これまで何度かのM&Aを経験してきた同社。代表取締役の森康氏は、GIFT mapアドバイザーの提案を振り返り「中小企業のなかには倒産などではなく、後継者不在で廃業せざるを得ない優秀な企業がたくさんあるという話を聞き、サクライさんの良いところを引き継ぎたいと思った」と話す。コロナ禍の先を見据え、事業の高付加価値化を通じ厳しい印刷業界を生き抜こうという経営戦略だ。
高機密重要印刷物を取り扱う森技報堂
サクライの高度な折り加工技術に魅力を感じた森氏。さらに、櫻井氏の人間性と経営ノウハウには見習うべき点が多かった。サクライでは、外国人技能実習生が従業員として活躍している。実習生の採用活動から研修・実務習得へ向けての教育などはすべて櫻井氏が担ってきた。森氏は工場を視察して、扱いの難しい機械を実習生がスムーズに使いこなしている様子に驚くとともに、将来性を感じた。
外国人技能実習生が働くサクライの工場
2021年2月の初顔合わせから、デューデリジェンス、両社合意を経て、4月に最終株式譲渡契約調印式を終えた。櫻井氏は「日本テクノにM&Aを提案してもらい、また良縁に恵まれ、創立30年の節目の年に事業を承継できた。今後は森技報堂の顧問として、新たに始まる第二の人生を楽しみたい」。サクライは、森技報堂専務取締役の髙野亮次氏を代表取締役に迎え、新たなスタートを切る。髙野氏は今後の展望を話す。「櫻井さんの力を借りて、これまで森技報堂では提供できなかった技術も展開できる。森技報堂グループとして技術力の向上に努めたい」。
最終譲渡契約調印式。左から櫻井氏、森氏、髙野氏
今回のM&A成立のポイント
- Point 1 | 加工技術の継承による技術力の向上
- Point 2 | 外国人技能実習生採用ノウハウの継承による企業力の強化
- Point 3 | スタッフの継続雇用の実現
- Point 4 | 既存顧客も事業の継続を要望